【おばさんから泥だんご】

 

わたしが　小さい頃

泥だんごを　大事に　大事に　磨き

宝物のように　飾ったものでした。

わたしが　作る　泥だんごは

とにかく　硬くて　丸い

寒い日に　ベランダの外に　放置し

砂を　かけて　磨いていく

それが　硬さの　秘訣でした。

 

 

しかし　今　思い返せば

泥だんごに　悪いことを　しました。

ぎゅっと　丸められ　極寒の中

ひとりぼっちで　ベランダに　放置

きっと　寒かったでしょう

そして　寂しかったでしょう。

 

 

今の　わたしは　その時の　

泥だんごの　気持ちが　

痛いほど　分かります。

それは　先日　

おばさんになった　わたしが　

泥だんごに　なったからです。

 

 

ちなみに　先々週と　先週末に

オープンハウスの　待機を　しました。

合計４日間　１２時から１７時まで

約２０時間の　現場待機でした。

物件は　出たばかりの　売れ筋

見栄えよくなるよう　掃除をして

雑草も　せっせと　抜き

足が　ガクガクになるくらい

平日は　チラシを　配りました。

 

 

そんな　万全の準備をしましたが

オープンハウスで　待機するには

ひとつ　問題が　ありました。

それは　電気が　使えないこと

関西電力が　電気の線を　抜き

室内には　電気が　通ってません。

 

 

そして　もうひとつ　問題が・・・

所有者が　ヘビースモーカーだった為

煙草の　ヤニ臭さが　半端ない

本来なら　寒いので　玄関ドア以外は

窓は　閉めて　おきたいところ

しかし　換気しないと　臭くて　堪らない

仕方なく　窓を　全開にして

室内で　待機を　始めました。

 

 

すると　待機して　３０分

寒くて　寒くて　堪りません。

外の　気温も　約１０度くらい

完璧な　真冬です。

室内に　冷たい風が　通り抜け

足元からは　氷のような　

フローリングの　冷気が　伝わります。

 

 

せめて　電気が　通っていれば

ヒーターを　持ち込めるのですが

わたしの　防御は　使い捨てカイロのみ

こんなの　全然　役に　立ちません。

 

 

仕方なく　室内で　風が来ない

リビングの　隅っこに　しゃがみこみ

丸く　縮こまって　寒さに　耐えます。

しかし　３時間　耐えたところで

限界が　やって来ました。

もう　死ぬ！　凍死する！

しかし　来場者がくるかも　知れない

会場を　離れる訳にゃ　いきません。

 

 

寒い　寒い　寒すぎる・・・

せめて　布団でもあれば・・・

その時　わたしの　脳裏には

お布団かけんのかと思ったら
かけへんのかい！

あの　ＣＭが　浮かんでいました。

 

 

しかし　あのＣＭは　まだ　マシ

最終的に　お布団が　掛けられ

幸せな　表情を　浮かべました。

 

 

ああ・・・・　羨ましい・・・

でも　ここには　布団はない。

わたしに　出来るのは　リビングの隅で

限界まで　体を　丸くして

耐えて　耐えて　耐えるのみ。

 

 

しかし　その後

とうとう　感覚を　失った　身体は

寒さで　ガチガチに　固まりました。

そう　こうして　丸くて　硬い　

泥だんごが　誕生しました。

 

 

そんでもって

その後　２週間に　渡り

これを　４日間　計２０時間

しかも　その間　来場者は　ゼロ

ひとことも　会話する事はなく

泥だんごは　寂しさと　寒さで

日増しに　丸く　固くなりました。

 

 

もう　嫌や　こんな　想いはしたくない

そう　思いながら

今週末　再度　オープンハウスして

リベンジ　挑戦するのか？

今　泥だんごは　悩んでます。