【顔農園】
たまに 変な 夢を 見て
その内容を 覚えてる時が あるの
今日は そんな 夢の 話しです
朝 起きて ひげを 剃ってると
ひげじゃない 白いものが
混じってることに 気付きました
よく 見ると それは もやし
顔に もやしが 生えてる 営業マンから
誰も お家を 買ってくれないでしょ?
だから 引っこ 抜いたの
でも それが 激痛でした
皮膚に 根を はっているのか
血も 大量に 出ました
あと 5本くらい 抜かないと
駄目なんだけど 断念しました
激痛に 耐えられないからね
そこで 抜くのではなく
根元ギリギリで 切る事にしました。
そして 恐る恐る 収穫した
もやしを 食べてみると
美味っ!
ほんのり 塩味も きいててね
顔から もやし ってのも 悪くない
そう 前向きに 捉えました
そうして 翌日
途中で 切った もやしは 伸び
収穫 できるまでに 成長
他の ひげも 全て もやしになり
顔全体が もやし畑に なりました
抜くのは 無理だから
丁寧に 根元から 切り取ると
まぁまぁの 収穫量
炒めても 良し 蒸しても 良し
煮ても 良し 朝 昼 晩
自給自足が 始まりました
でもね 数日で うんざり
もやしは 飽きちゃったの
すると ある日
もやしと 違う
緑の 芽が 生えてきました
何の 芽なのか? 分かりません
でも 成長するにつれ
正体が 明らかになりました
米の 稲穂です
でもね 稲穂が
風に なびくたび かゆいの
それと 目の前に 垂れてきて
車の 運転が できないの
あと 映画館で 後ろの 席から
文句も 言われるしね
それでも 耐え 続け
収穫の 時期を 迎えました
米の 品種は 夢ぴりか
炊いて 食べてみると
ほんのり 塩味が きいてて
まさに 絶品です
収穫まで 時間が 掛かるものの
何度か 収穫を 重ね
米農家と 呼べるまでの
ノウハウも 身についてた頃
明らかに 米とは 違う
茶色のものが 顔じゃなく
頭の つむじから 生えてきました
よく見ると それは きのこ
食べれる きのこか?
もしかして 毒キノコか?
そのとき ふわ~っと
香りが 漂ってきました
この 香り 間違いない 松茸です
こうして 振り返ってみたら
もやし農家から 米農家
そして 松茸農園
格が ぐんぐん あがってきました
でもね 松茸は 甘くない
つむじの 1本しか 生えてこないの
収穫した 夢ぴりかは
まだまだ 残ってるし
松茸ごはんが 待っている
この 1本に 全てを 注ごう
そうして 大事に 育てました
すると さすが 松茸
良いこと いっぱいです
大きくなった 笠の おかげで
真夏も 日陰で 涼しいし
ゲリラ豪雨も 大丈夫
まさに 三度笠です
でもね 良かったのは ここまで
その後は 大きくなり過ぎたの
重いの なんのって
肩は もう パンパンだし
笠が つっかえ 枕に 届かない
両手を 広げたよりも
笠が 大きくなったからね
部屋の 扉も 通れないし
トイレも 風呂も 通れない
エレベーターにも 乗れない
売り物件の 玄関も 通れなけりゃ
当然 家も 売れない っていうか
松茸から 家を 買う人は いない
抜こうにも もう 抜けない
松茸として 生きていくしかない
こんな 夢を 見ました。
実際は もやしだけ 夢で
あとは 創作で 膨らましました
もやし 抜いた時の 激痛
妙に リアルだったのよ
貴女も もやしが 生えてきたら
抜いちゃ ダメよ
そんじゃ さようなら~