【食い逃げ未遂】
カウンターしかない 約10坪の
飲食店で ランチしました
カウンター越しに 割烹着を着た
60歳代くらいの 大将が
「刺身定食が おススメです」
と 勧めて くれたので
刺身定食を 注文したの
さすがに 勧めるだけあって
ネタは どれも 新鮮
そして その後 食べながら
ふと 値段が 気になりました
いったい いくらなんだろう?
もしかしたら めっちゃ 高いかも
こそっと 伝票を 確認すると
なんと 480円!
この 新鮮さで 480円
もう 大将!良心的すぎっ!
でもね その後 蒼白になりました
財布に お金が 入ってないことに
気が 付いたからです
財布に 入っていたのは
10円玉 6枚だけ
そう 所持金は 60円なんです
こりゃ 焦りました
カウンター越しの 大将に
悟られないよう 財布を
何度も 何度も 探ってみても
60円しか 有りません。
あ!そうだ クレジット払いだ!
と 店内を 眺めてみても
クレジットカード 払いを
扱ってそうでは ありません。
う~ん どうしたものか・・・
そんな時 大将が
「少し 出かけるので よろしく」
と 店から 出ていきました。
店内の 客は わたしだけ
3分待っても 5分待っても
大将は 帰ってきません。
どういうこと?
食い逃げ できるじゃん
そんな 考えが よぎりました
でも たかが 480円で
犯罪者に なるのは ちょっと・・
そう思い ふと 顔を あげると
カウンターに 大将の 姿が
いつの間にか 戻ってたみたい
「すいません この近くに 銀行か コンビニ ありませんか? うっかり 財布に入ってる お金が 足らないみたいで
出金したいんです」
そう 伝えると 大将は
「二つ目の 大きな通りを 左に曲がって しばらくすると UFJ銀行が あるよ」
と 教えてくれたので
キャッシュカード以外の 所持品
鞄や 運転免許証など 全てを
人質として 大将に 預け
「すぐ 出金して 戻ります!」
と お店を 出ました。
そして 言われたとおり
二つ目の 大きな通りを 左折し
銀行を 探すも 見つかりません
500メートル 歩いても ないのよ
焦りました 早く 戻らないと
食い逃げと 疑われる
もう 歩いてる 場合じゃない
そこからは 走りながら
銀行か コンビニを 探しました。
この通りじゃないかも 知れないと
右折や 左折を 繰り返し
どれほど 走ったでしょう
周囲を 見渡すと
人気のない 峠道なの
どこ? ここ どこなのよ?
仮に お金を おろせても
あの店が どこにあったのか?
もう 戻れないじゃん!
泣きそうに なりながら
走っていると 人影を 発見
「すいません この近くに 銀行か コンビニ ありませんか?」
峠の 住民に 話しかけたところ
ちっとも 言葉が 通じません
どうみても 日本人じゃない
アフリカの ジャングルに住む
すると 数名の
ブッシュマンが 近くに 駆け寄り
わたしを 不思議そうに 眺めます
もう 諦めました
出金も 出来ないし 勘定も できない
480円の 食い逃げは
けっして 本望じゃないけど
もう 仕方ない
アフリカまで 来たんだから・・・
そう 思った途端 目が 覚めました
なんなの この夢!
こうして 食い逃げは
未遂に 終わりました。