なおき賞ノミネート【CMのない世界】
当社の 西森くんの ブログは
日増しに ファンが 増えてます。
わたしが 褒めるのも どうよ?ですが
確かに ファンが 増える
要素は たっぷり。
ちなみに 彼は もともと マメなので
内覧記事でも これでもかと
室内を 細部に わたって
丁寧に 紹介し そこに 一切の
手抜きは ありません。
そして それよりも 感心するのは
彼が たまに 書く フィクション。
ふと 何気に 浮かんだ事で
あれよ あれよと ストーリーをつくり
ちょっとした 小説みたいなものを
プロデュースします。
ちなみに 面白いか 面白くないか?
そんな事は 置いといて
こんな 文章が書ける事に
いつも 感心して しまいます。
彼の 経歴のなかに
学生時代 論文コンクールで
全国トップに なった事が あるのも
すんなり うなずけます。
そして そんな 西森くんが
本日 またまた プロデュースしました。
よく こんなのが 書けるなぁ~って
いつもながら 感心したので
ちょっと 紹介します。
どうぞ ご覧ください。
【CMのない世界】
十数年か、
数十年、先の、
ある日。
今日も、暑かった。
エントランスを抜けて、
玄関ドアを開くと
、部屋はもう空調が効いている。
CMにやられて、
私の行動を予測する、
「ナゴムの充実生活」
というシステムを
導入したからだ。
そして、いつものように、
執事ロボが、鞄を受け取りながら
わたしに ねぎらいの
言葉をかける。
「今日も一日お疲れ様でした。」
「帰宅の一杯は、
コケコーラにしますか?
それとも、チリンビールですか?」
「今日は、ひどく暑かったから、
ビールにしよう。」
「さすが、ご主人様。」
「ビールはチリンに限ります。」
いいながら、
執事ロボがビールを運んでくる。
執事ロボというのは、
名ばかりで、こいつは、
家に住み込みの
営業ロボだ。
何かにつけて、
自分が契約している、
スポンサー企業の商品を
必ず売り込んでくる。
警備会社の ナゴムが、
新しく始めたサービスで、
「あなたのおうち、
無料で警備いたします」
が、売り文句の、
執事ロボサービス。
自宅にロボットが常駐して
警備と、家事を、
あわせて こなしてくれる。
電話一本で、サービスを
注文した翌日には、
このロボットが、
私の家の チャイムを
ならしていた。
それが、半年前。
はじめは、
完全に無料の、
警備サービスなんて、
少しも信じていなかった。
警備以前に、独身の私には、
家に話し相手もいない。
相手が、ロボットでも、
少しくらいは、気が紛れれば…
そう思ったのが最後。
もう、このロボット無しには、
生活が成り立たなくなっている。
私が物思いに耽っているのを
さとったのか、いつのまにか、
部屋には心地よい音楽が、
流れている。今の曲は、
トイレの洗浄剤で
爆発的にヒットしたジャズだ。
壁一面のディスプレイには、
雄大な自然が映し出されている。
しん、とした夜の山を
月明かりが照らしている映像だ。
この映像も、あくまで、
CMなので、5分おきくらいで
常に入れ替わっていくが、
空気清浄機能がついた、
ソファのCMらしい。
全てのコンテンツは、
手元のタブレットで
選択できるが、
共通点は、すべて
何かしらの商品や
サービスにつながるところ。
私の興味を、
この端末がデジタル化して、
その内容を、執事ロボと
壁一面のディスプレイに
投影させる。
もちろん、これのおかげで、
嫌いな番組が、
垂れ流されているのを
目にする機会は、
ほとんどなくなったが、
気がつくと、つまらないものを
購入したり、契約していたり…。
そもそも、この部屋でさえ
家賃が無料だ。
大手のスポンサーが
仕組んだ企画のひとつだ。
広告の缶詰に、
自ら飛び込んでくる
ものには、
他での出費を
極力おさえるのが
最近の時流だ。
もちろん、金を出して、
家を買ったり、
部屋を借りたりすれば、
こんな煩わしいCMからは、
完全に自由な暮らしが、
実現するのだろう。
だが、企業が売りたいものを
買わされているからといって、
別段、なにかの大きなちがいが、
出てくるわけではない。
このビールにしたって、
チリンだろうが、
アッポロだろうが、
ラベルがついていなければ、
違いを見極める舌なんて
持ち合わせてはいない。
それなら、サービスされやすい
ものを買っていたほうが、
なにかと好都合だ。
スポンサーの利益が、
最優先にプログラムされた、
執事ロボが、時には
煩わしく感じる事もある。
だが、一緒に暮らすものとして
彼の機嫌がいいほうが、
私にとっても、ずっと
利益があるというものだ。
そして、なにも困らない。
ロボットのプログラムと
スポンサーには、
医療サービスや、葬儀屋まで、
入っているから、
万一、私に何かが起きても、
法律に則った方法や
手続きを、執事ロボが
すべて進めてくれるだろう。
さすがに、
これは、別のロボットになるが
生前に予約しておけば、
ロボットが定期的に、
墓参りに訪れるサービスまで
用意されている。
これは、まだまだ高額なので、
富裕層向けのサービスに
留まっているが…。
あと、墓石に、
スポンサーのマークが
刻印されるのも
イマイチなところだ。
つまらないことを、
考えているあいだに、
執事ロボが、夕食の支度を
済ませていた。
食事のときは、
いつも、決まったルールがある。
ルールとは言っても、
何かをする必要はない。
ただ、ロボットの説明を
聞き流すことがルールだ。
「ご主人様。
お食事の用意ができました。
本日も、弊社ナゴムスペシャルの
夕食コースとなっております。
まずは、こちらの
にんじん。
産地が北海道で
ナゴムグループの
契約農場。
甘みがたっぷりつまった
冷凍にんじんです。
続いて、こちらのタマネギ。
こちらは、兵庫県産の
ナゴムグループ、契約農場。
こちらは適度な辛みと、
強い甘さが特徴です。
続いて、
牛肉は…
ほうれん草は…
ネギは…
調味料は…
ナゴムナゴムナゴム……。
すべてナゴムグループですので
今日も、安心・安全な
夕食となっております。」
大抵は、私が食事を終えても、
10分くらいは、
説明が続く。
説明というよりは、
ナゴムの押し売りだ。
だが、これにも、
すぐに慣れてしまった。
はじめは、執事ロボから
スピーカーを外してやろうかと
思うくらいに、
憂鬱な気分になったが、
人間には、どこまでも
慣れていく習性というものが、
あるらしい。
スピーカーを外して、
執事ロボと、会話が
できなくなることのほうが、
今は、ずっと恐い。
こんな私でも、
いつかは、CMのない世界で
暮らしてみたいとも、
思うことがある。
その体験として、
このあいだ、
申し込んだのが、
夏の旅行だ。
「大自然を満喫し、
静かな部屋で、
喧噪から離れて
ゆったりと時間を過ごす、
3日間。」
そんなキャッチフレーズに
つい、つられて、
申し込んでしまった。
ちょっとした、
冒険気分だが、
出発は、明日の朝だ。
そして、翌朝。
執事ロボが、
シリアルのCMに採用された
音楽で起こしに来る。
「朝食の準備が整いました。
今日はナゴムスペシャルの
コースで……。」
今日は、せっかくの
CMフリーだから、
洋服もすべて、
無地のものを選んだ。
ブッチや、バラダの
洋服もいいが、
大自然に向かうには、
やっぱり ナダックスの
スポーツウェアが
いいだろう。
「ナカナカのお見立てです。」
無地を選んだが、
ナダックスもスポンサーに
ついていたらしく、
執事ロボも上機嫌だ。
「気をつけて
いってらっしゃいませ。」
執事ロボに見送られ、
迎えの車に乗ると、
そこには、
添乗員ロボがいた。
「本日は 安心・安全の
ナゴムツアーに
ご参加を頂きまして、
誠に、ありがとうございます。
本日、ご案内をさせて、
いただきますのが、
わたくし、
ナゴムグループの…」
車での移動がおわり、
飛行機の移動も交え、
やっと、自然あふれる
目的地に到着した。
体には、移動の疲れが
残っているが、
添乗員ロボや、
車、飛行機のボディ、
シートなどのロゴ、
BGMなどを省くと、
いつもほど、CM漬けではない。
気分が晴れて、
移動の疲れさえ、
心地良い気分だ。
そして、目の前には、
高原の空気に包まれた、
大自然が広がっている。
ふと見ると、そこらじゅうに
色とりどりの、野鳥が
無数に、舞い踊っている。
「大自然の中で…」
という、この旅の
キャッチフレーズは
あながち嘘ではなかったようだ。
よく見ると、
鳥は、大きなインコのようだ。
鳴き声で、すぐにそれと
分かった。
同時に鳴くので、
はじめは気付かなかったが、
どの鳥も、
「ナゴーム ナゴム」
と鳴いている…。
こんな大自然に
囲まれているのに、
なぜか、無性に、
人間と、話がしたい。
何年かぶりの
友人に、連絡を
とってみようか。
CMのない世界で…。
妄想は、ここまで♪
昨日の夜にみた、
テレビのなかで、
消費者金融のCMが
流れていて、
なんだか、違和感を
感じたけれど、
幸せそうな内容で、
不思議な気分になったので、
CMが度をこした世界を、
妄想してしまいました。
生活に、テレビ以外のかたちの
CMがどんどんと
入り込んでくると、
ややこしそうですね~。
なにを選んでいいのか
今でも、分からないことも
多いのに…。
吹田市の不動産に限っては、
どうぞ、わたくし、
にしもりに ご相談ください♪
いっしょに迷いますが、
答えを見つけるための、
全力の、お手伝い、致します!